冷愛冷涙-Reiai Reirui-
何で……っ!?


「ハートのゴンドラだったね!楽しかったぁ」


「また来ような」


耳に入ってきた、すれ違った人たちの会話。


幸せに溢れている会話を聞いた瞬間、堪えていたものが限界に達した。


溢れそうになる涙を懸命に堪えて、長蛇の列から抜け、一人になれそうなところへ走る。


〝走っちゃだめ〟


真面目な自分が、暴走してる自分へと呼びかけたけど、心が崩壊した私には、そんなこと聞く耳がない。


「はぁっはぁっ」


日陰のところにポツンとあるベンチ。


そこに倒れこむようにして座った瞬間、我慢していた涙が堰を切ったかのように溢れてくる。


「何で何で何で……」


何で……?


何で私は、治療を受けないって言ったの……っっ!?
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