冷徹社長の容赦ないご愛執
たしかめる、想い。
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 キッチンでお湯を沸かしながら、リビングのテーブルに置いたスマホを見やった。

 声が聴きたかった、と言った彼が今、夜更けにもかかわらず私の元へと飛んで来てくれている。

 前に送ってもらったことがあったから、住所も教えずにここまで来てくれるんだろう。


 【温かい飲み物でも用意して待っててくれ】


 電話を切ったあと、社長から返ってきたメッセージに胸が心地よく締めつけられる。

 ホテルからこちらへ向かう社長が、まるでこの部屋に帰ってくるようで……

 初めてのことなのに、なんだかそれがごく自然なことのように思ってしまう。

 それもこれも、社長の気持ちが私に向けられているということを実感しているからなんだろう。


 社長がここに来る……


 誰ひとりとして異性を招いたことのない部屋には、自分の心臓の音が響き渡っているようだ。
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