占いガール
ー倫太郎sideー
カフェから出ていく二人を目で追いかける。
校内の女の子達が、よく当たる占いババが居るって噂してたのは前から知ってた。
そして、時々彼女達も見掛けてた。
占いババとは言いながらも、19歳の女の子なのも。
別に占いになんて興味もなかったし、俺に寄ってくる女の子達みたいな華やかさも無かったし。
だから、すれ違ってもこちらから声をかけるつもりなんて全然なかった。
今日はたまたま。
何となく席を探していて、気紛れにその席へと足を進めた。
ちょっとした遊びのつもりで。
「倫、珍しいのに声かけたのな?」
俺の目線を辿りながら、慧が言う。
「まぁなぁ。何となく気まぐれ」
視線をBランチに戻して食事を再開する。
「紀伊ちゃん美人だったよなぁ」
白身フライをかじりながら俺を見た慧に、
「あの子は手強いぞ」
と笑う。
それ以上に千尋ちゃんは手強そうだけど。
そう思ってはっとする。
おいおい、あんな瓶底眼鏡に興味持ってるのかよ、俺。
綺麗な子が黙ってても寄ってくるって言うのに。
隣に座って、横顔を見て違和感を感じたんだよな。
色白で手触りの良さそうな決めの細かい肌。
分厚い眼鏡の隙間からちらりと見えた長い睫毛を蓄えた二重。
あの子は、それをわざと隠してるんじゃないかって。
ただの俺の妄想かも知れないけど。
ひっつめてる髪を解いて、あの厚い眼鏡を外せば、もしかしたら美少女・・・・・な~んてないか。
漫画や小説じゃあるまいし。
思い浮かんだ自分の思考に苦笑いを浮かべた。
「倫、もしかして占いババに興味持った?」
ニヤた顔で俺を覗いてくる慧。
「うるせぇよ。あんなの相手にしなくても、女に不自由しないよ」
見透かされた事が悔しくて悪態をつく。
まぁ、実際、遊ぶ女に困ってなんてないけど。
やりたい時に、やれればいい。
来るもの拒まず去るもの追わずのスタンスは変わらないし。
「だよなぁ~顔もスタイルも良い女が、どうぞって股を開いてくれるのに、わざわざつわものを選ぶ必要ねぇよな」
クハハと笑った慧に俺も笑い返した。
その通りだ。
恋愛なんて面倒くさいことしなくても良い。
気持ちなんてなくても、体は気持ちよくなれるんだからな。
でも、そう思いながらも俺の頭の片隅に千尋ちゃんがこびりついていたのは、なぜだろうな。
ーendー