占いガール
「北本先輩は何をしに来たんですか?」
「お、俺に興味湧いた?」
嬉しそうに言うから、
「いえ、別に。言わなくてもいいです」
と返す。
「冗談だって。エロ本買いに来た」
「なっ!」
ムカつくけど、オーバーな反応をしてしまった。
そんなことわざわざ言わずに買って帰ってください。
「な~んちゃって。家がこの近くで暇潰し」
クククと笑う北本先輩を無表情で見据える。
「・・・・・」
この人やだ、凄く疲れる。
チラチラ見てくる女の子達も増えてきたし、そろそろ退散しよう。
ゆっくりと後ずさっていく。
「もう行くの?」
なんてことはないって顔で聞いてくる。
「はい、さようなら」
頭を下げて、そのまま背を向けて走った。
背中越しに聞こえてきた楽しげな笑い声に、ムカムカしながらレジへと向かう。
なんなのよ、あの人。
本当にやだ。
「870円です」
「これで」
1000円を渡して清算する。
「130円のお返しです」
お釣りとテキストの入った袋を持って、足早に本屋を後にした。
ここの本屋はもう使わない。
北本先輩に会うリスクはなるべく減らしたいから。
あの人と話してると、神経がすり減っていく気がするもん。
貰った地図を片手に、カテキョ先へと向かう。
閑静な住宅街は、お洒落な作りの家が多くて。
小型犬を散歩させてる上品はおばさまや、通りすがる高級自動車とすれ違う。
大きな家が多いなぁ。
高級感たっぷりの街並みに、ちょっと臆してしまうのは、私が田舎者だからだろうか。
カテキョ先も、立派なお家なのかな?
もっと綺麗な格好をしてきた方が良かっただろうか。
あ、そろそろ訪問先だから、眼鏡外さなきゃ。
カテキョ先には普段の格好はしていかないように言われてるんだよね。
ちょっと怪しい感じに見えるから清潔感のある