占いガール
絶対、北本先輩とは会わないようにしないと。
見つかったら、ろくなことになんない。
だいたい、北本先輩、妹に女ったらしって言われてるの、どうかと思いますよ。
「だってお兄ちゃん、女の人コロコロ変えてるじゃん」
思春期の女の子には、そう言うの不潔に思えるんだろうなぁ。
「もう涼香、神宮寺先生の前でそんな話しないの。先生、申し訳ありません」
「あ、いえ、大丈夫ですよ」
こう言うしかないよね。
「先生の事は絶対に秘密ね、ママ」
うん、私もぜひそうしてほしい。
「はいはい、分かりました。倫太郎さんには言わないわ」
困ったように眉を下げながらも頷いた鏡花さんに、涼香ちゃんは満足そうに微笑んだ。
「涼香ちゃんが心配しちゃうから、私も出来るだけお兄さんに会わないようにするね。カテキョの日にお兄さんが居たら時間をずらすから連絡してね」
涼香ちゃんに、ウインクした。
「うん、もちろんだよぉ」
涼香ちゃん、ナイス。
「神宮寺先生、変なことに付き合わせてごめんなさいね」
「良いんです。私、涼香ちゃんの先生ですし」
フフフと笑う。
よっしゃ~作戦成功。
涼香ちゃんに、便乗しておけば、北本先輩と会わなくて済みそうだ。
連携プレイで、北本先輩を避けまくる。
もうそれしかない。
「あら、すっかり長居をしてしまいましたね。私はそろそろ失礼します」
鏡花さんが空になったティーカップを片付け始める。
「ごちそうさまでした」
「いいえ。何かご用がありましたら呼んでください」
「はい。よし、涼香ちゃん勉強再開しようか」
「は~い、先生」
涼香ちゃんと立ち上がって机に向かう。
鏡花さんはそんな私たちを微笑ましそうに見た後、静に部屋を後にした。