占いガール
「えぇ~先輩のお家にいきた~い」
甘えるような声で北本先輩を見上げる女の子。
「無理。涼香に、カテキョの日は静かに勉強したいって言われてるし」
困ったように眉を伏せる北本先輩は、色っぽいな。
バレないようにチラチラと集団を視線を向けて観察する。
「じゃ、俺んち行こうぜ。倫の家の少し先だし。この時間なら親もいねぇよ」
渋沢先輩、親の居ない家に女の子連れ込んじゃうのね。
相変わらず軽いノリ。
「行く行く」
渋沢先輩の腕にしがみついてるダイナマイトボディーの女の子がさらに彼の腕に体を寄せた。
ニヤリと笑う渋沢先輩も満更じゃないらしい。
「悪いけど俺は帰るよ」
北本先輩が素っ気なく言う。
「えぇ~帰っちゃうんですかぁ」
不服そうに唇を尖らせた女の子に、
「また、今度埋め合わせするね」
と微笑んで彼女の髪にキスを落とした北本先輩。
うわぁ~女離れしてる。
「うん、分かった」
髪にキスをされた女の子は恥ずかしそうに笑った。
あれは、イチコロだな。
「倫、帰るのかよ」
「ああ。今なら、もしかしたらカテキョにさりげなく会えるかも? だろ」
会えませんよ。
危ない危ない、夕飯をご馳走にならなくて良かった。
「涼香ちゃんのカテキョか?」
「そ、涼香も鏡花さんもべた褒めするほどの美少女らしいんだよなぁ」
「マジか!」
渋沢先輩、食いつきすぎ。
て言うか、涼香ちゃんも鏡花さんも、余計な情報を北本先輩に言っちゃダメだよ。
「頭もよくて美少女とか見てみたいだろ?」
「そりゃな」
「えぇ~美少女に会いに行くのぉ?」
北本先輩の腕にしがみついてる女の子が不服そうに抗議する。
「別に会いに行く訳じゃなくて、妹がお世話になってる挨拶をね」
ウインクした北本先輩。
「だったらいいけどぉ」
いいとは思ってない顔で言う女の子。
「うちの大学の子なんだろ?」
渋沢先輩の言葉に、ピクッと肩が上がる。
「そうなんだよなぁ。でも、名前は教えてくれないんだよ、涼香も鏡花さんも」
良かったぁ~名前を教えられたら、本当困るよね。