占いガール
もちろん年の離れた妹は可愛い。
片方しか血が繋がってなくても、涼香は可愛いんだよな。
女遊びする俺に厳しいところはあるけど、それ以外はお兄ちゃんって慕ってくれるしね。
手を洗ってダイニングテーブルにつくと、涼香が少し危なっかしそうに料理の乗ったプレートを運んできてくれた。
「今日はエビフライだよ」
「お、旨そうだな」
「ママの料理は美味しいに決まってるじゃん」
自分が作ったんじゃないのに、自信満々に胸を張る辺りが幼くて可愛いね。
「そうだったな。お、涼香、可愛いバレッタだな」
「うん。先生がご褒美にくれたの」
嬉しそうに話す涼香にほのぼのする。
へぇ、お洒落だけど派手すぎないデザインで趣味がいいな。
それに涼香に似合うものを選んでる。
「良かったな」
ポンポンとバレッタを避けて頭を撫でる。
「うん。それに先生、教え方がすっごい上手なの」
「へぇ。じゃあ、今度の統一模試は良い点が取れるかもな」
「絶対とるよ。それで、先生に遊びにつれていってもらうんだぁ」
「お、いいな」
カテキョも、涼香に振り回されてるんだろうな。
「また涼香は勝手な事を言ってるの? 先生にまだ聞いてないんでしょ?」
スープとご飯を持ってきてくれた鏡花さんは呆れた顔で、涼香を諫める。
「大丈夫だよ。先生は優しいし」
「そう言う問題じゃないわ。先生はまだ大学生なのよ。色々とお忙しいかも知れないでしょ」
まったく、と溜め息を吐いた鏡花さん。
「だって、先生とお出掛けしたいもん」
アヒル口になった涼香。
こんなにも涼香になつかれてるカテキョに、興味が沸く。
「そんなに素敵な先生なら俺も会ってみたいなぁ」
何て言えば、
「ぜ~ったい嫌。純情な先生をお兄ちゃんの毒牙にはかけさせない」
と猛抗議を受けた。
涼香にとっての俺の位置付けは、あんまりよくないらしいな。
「こら、涼香。倫太郎さんに失礼なこと言わないの」
メッと涼香を睨む鏡花さん。
「ハハハ、いいですよ。俺の普段の行いが悪いからだよな」
涼香に笑いかけたら、
「分かってるなら。一途なお兄ちゃんになってよ」
と返される。
最近の小学生はしっかりしてるよなぁ。
可愛い涼香の頼みでも、こればっかりは変えらんないんだよね。