占いガール
「ほら、涼香。もう倫太郎さんの邪魔しないの。お料理が冷めないうちに召し上がって」
「は~い」
聞き分けのいい返事をして離れていく涼香を横目に、
「いただきます」
と手を合わせた。
鏡花さんの料理は相変わらず美味しかった。
愛情も手間もかかってるそれを、俺は箸を動かして口へと運び続けた。
4コマの講義がある教室へ向かうために、生徒で賑わう廊下を歩いていく。
「よ、倫」
ポンと肩を叩かれて振り返る。
「慧、今来たの?」
明らかに寝起きの顔をしてる慧を白い目で見る。
「朝まで二人の相手してたら、起きられなくてな」
ニシシと笑った慧。
あの後、二人の女の子を相手してたのかよ。
体力バカか。
俺にすり寄ってた女の子も、結局顔がよけりゃ慧でもいいってことか。
まぁ、あの子になんの感情もないのは、お互い様だけどね。
女なんて所詮、どれも同じだな。
顔で寄ってきて、快楽を欲する。
俺の母親と同じやつらばっかだな。
「お、紀伊ちゃんと占いババじゃん」
慧の視線の先には、千景ちゃん達がいた。
俺達との距離はまだ遠い。
ほんと、不思議なコンビだよな。
楽しそうに会話してる二人をまじまじと見る。
「声かけてこようかなぁ」
と言う慧に、
「首筋にキスマーク付けて行ったら、更に軽蔑されるぞ」
注意しておく。
はだけた襟元から、くっきりとキスマークが見えてんだよ。
「マジかぁ。付けんなって言ったのにぁ」
「キスマーク付けた子は注意した方がいいぞ」
独占欲がある子は、遊びだと割りきれないることが多い。
そう言う子は、後々面倒な事になる。
「多分、千佐だよなぁ」
慧の腕にしがみついてたスタイルのいい女の子のこと。
「彼女は軽いふりしてそうじゃないのかもね」
「マジかぁ。着拒しとくかなぁ」
軽い口調でそう言いながら、スマホを操作する慧は鬼だな。
俺も人の事は言えないけど。
相手の子がマジになったら、さりげなくフェードアウトするし。
面倒なのはごめんだからね。
彼女面とかされて、世話をやかれるとか冗談じゃないし。