占いガール






「ほら、涼香。もう倫太郎さんの邪魔しないの。お料理が冷めないうちに召し上がって」

「は~い」

聞き分けのいい返事をして離れていく涼香を横目に、

「いただきます」

と手を合わせた。


鏡花さんの料理は相変わらず美味しかった。

愛情も手間もかかってるそれを、俺は箸を動かして口へと運び続けた。









4コマの講義がある教室へ向かうために、生徒で賑わう廊下を歩いていく。


「よ、倫」

ポンと肩を叩かれて振り返る。


「慧、今来たの?」

明らかに寝起きの顔をしてる慧を白い目で見る。


「朝まで二人の相手してたら、起きられなくてな」

ニシシと笑った慧。


あの後、二人の女の子を相手してたのかよ。

体力バカか。



俺にすり寄ってた女の子も、結局顔がよけりゃ慧でもいいってことか。

まぁ、あの子になんの感情もないのは、お互い様だけどね。

女なんて所詮、どれも同じだな。


顔で寄ってきて、快楽を欲する。

俺の母親と同じやつらばっかだな。



「お、紀伊ちゃんと占いババじゃん」

慧の視線の先には、千景ちゃん達がいた。


俺達との距離はまだ遠い。

ほんと、不思議なコンビだよな。


楽しそうに会話してる二人をまじまじと見る。


「声かけてこようかなぁ」

と言う慧に、

「首筋にキスマーク付けて行ったら、更に軽蔑されるぞ」

注意しておく。

はだけた襟元から、くっきりとキスマークが見えてんだよ。


「マジかぁ。付けんなって言ったのにぁ」

「キスマーク付けた子は注意した方がいいぞ」

独占欲がある子は、遊びだと割りきれないることが多い。

そう言う子は、後々面倒な事になる。


「多分、千佐だよなぁ」

慧の腕にしがみついてたスタイルのいい女の子のこと。


「彼女は軽いふりしてそうじゃないのかもね」

「マジかぁ。着拒しとくかなぁ」

軽い口調でそう言いながら、スマホを操作する慧は鬼だな。

俺も人の事は言えないけど。


相手の子がマジになったら、さりげなくフェードアウトするし。


面倒なのはごめんだからね。


彼女面とかされて、世話をやかれるとか冗談じゃないし。





< 28 / 100 >

この作品をシェア

pagetop