占いガール










「う、うん。ありがとう。お金後で渡すね」

「良いわよ。食費から払っておくし」

「了解」

頷いて、テーブルの上のカトラリーからナイフとフォークを取り出した。

うちの実家と紀伊ちゃんの実家で食費と家賃を折半していて、食費の方は共有のお財布に入れてある。

お互いに使うときにそこから貰っていくようにしてるんだ。


「「いただきます」」

二人で両手を合わせる。


出来立てのAランチは美味しそうだ。

ハンバーグとエビフライとサラダとパンとカボチャのスープ。

ここのランチは安くて美味しい。


「千尋も今日はバイトだよね?」

「うん。紀伊ちゃんもだよね?」

「そうよ。今日は10時までだから、先にご飯食べて寝て」

「分かった。私は今日はカテキョの方だから8時半には帰れるから晩御飯作っておいとくね」

「いつもありがと」

「ううん、こちらこそ」

フフフと笑い合う。

紀伊ちゃんはカラオケ店で週5でアルバイト。

私は家庭教師とマンション近くのコンビニで週2回バイトしてる。


早く終わる方がその日の夕飯を作ることになってるんだよね。


「私、カテキョのバイトもう一人増えるかも」

この間、学長に言われた事を思い出して伝える。


「そうなの? 千尋、今、中学生を二人見てるよね」

「うん。今度は小学6年生なんだって」

「体に負担にならないなら良いけど、無理しないでよ」

「分かってるよぉ」

紀伊ちゃんは心配性だ。


私、教えるのは得意だし、もう一人ぐらい増えても大丈夫だと思う。


「ならいいけど。千尋は直ぐに無理するから」

「しないよ。それにね、少しお金も欲しいから一人増えるのは助かるの」

再来月はお母さんの誕生日だから贈り物したいんだよね。


「何か欲しいものでもあるの?」

そう言ってエビフライにかじりついた紀伊ちゃん。


「ううん。再来月お母さんの誕生日だから」

首を左右に振ってからそう答える。


「あ、そっか、おばさんの誕生日ね。足りないなら私もカンパするわよ」

「いいよ、そんなの」

紀伊ちゃんは、化粧品や洋服を買ったりする為に働いてるのに、申し訳ない。


「おばさんが送ってくれる野菜とか缶詰とか、凄く助かってるもの、そのお礼ぐらいしなきゃ」

「そんなの良いってば。紀伊ちゃん家のおじさんだって色々送ってきてくれてるじゃん」

私の家も紀伊ちゃんも家も、生活の足しにと何かしら送ってきてくれる。

お互い様なんだからね。



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