占いガール
血液型占い
過去の亡霊
ー紀伊sideー
今日も千尋の周りに女の子達が集まってる。
恋する女の子は占いが、よほど好きなのね。
千尋の今日の占いは血液型占いだって。
この子、どんどん占いのレパートリー増えてくわね。
「私、A型なの」
と言うのは去年のミス青学。
こんな綺麗な子でも、占いに頼りたくなるなんて。
恋って不思議。
「分かりました」
千尋は手元の資料を見ながら、占いを始めていく。
机に座ってる千尋とそれを覗き込むミス青学を見ていて思う。
千尋が変な変装を解いて、普段の美少女に戻れば、今の絵図らはかなり福眼なんだけどなぁと。
美女対美少女に、周囲だって息を飲むに決まってる。
勿体ないな。
千尋があの瓶底眼鏡を止めて、ひっつめ髪を解く日が早く来てほしい。
カテキョの時は本来の千尋に戻ることが出来るんだから、きっと普段も大丈夫なはずなのにな。
千尋をこんな風にした大翔に怒りが沸いてくる。
浮気して裏切って、その後だってあの里美とか言う女と付き合っちゃってさ。
地元の友達からの情報だと、中学の卒業後に別れたらしいけど。
ふらふらと誘われるままに女を遊んでるらしいし。
千尋が未だに苦しんでるのに、あいつだけが青春を謳歌してるとか更に腹が立つのよね。
あ~思い出したらイライラしてきた。
それに最近気になる話もあるし。
なんでも、大翔が千尋の居場所を知りたがってるとかで、中学の同級生を当たってるらしい。
何を今さら・・・。
絶対に会わせてなんてやらないんだから。
もう、これ以上、千尋を傷つけさせやしない。
私達の友達には居場所を教えないように箝口令は引いてるけど。
油断は禁物ね。
「ありがとう、そうしてみるわ」
ミス青学が綺麗に微笑んで去っていく。
私が考え事をしてる間に、占いは終わってたみたいね。
「千尋、帰ろう」
「うん」
頷いた千尋は広げた資料を鞄の中に詰めると立ち上がる。
「帰りに、クレープ屋さんに寄ろうよ」
一緒に帰れる日は珍しいから、たまに寄り道してみたい。
「うん、そうしよ」
フフフと笑った千尋と校内を進む。
今日はあの二人に会いませんようにと願いながら。
最近、やたらと絡んでくるのよね。
渋沢先輩と北本先輩。
私も千尋もうまく交わしてるから、今のところ問題は起きてないけど。
触らぬ神に祟りなしだと思うのよね。