占いガール





北本先輩に案内されてやって来たのは、大学近くの可愛いケーキ屋。

店内にイートインスペースがあって、大学帰りの女子生徒達がちらほらお茶をしていた。


「ここのケーキ美味しいから、好きなのどうぞ」

差し出されたメニュー。

「あ、でも・・・」

話をしたいだけだしなぁ。


「バイト代入ったばっかりだから奢るよ」

お礼を言いに来たのに奢って貰うのは心苦しい。


「そんなわけには・・・」

店内に入るときにチラッと見たショーウィンドの中に、凄く美味しそうなケーキがあったので、食べたいのは山々だけど。


「遠慮しないで。紀伊ちゃんも好きなの食べて」

私の隣に座る紀伊ちゃんにも声をかけた北本先輩。


「分かったわ。千尋、せっかくだから食べよう」

「・・・うん」

紀伊ちゃんがそう言うなら。


「良かった。遠慮しなくていいからね」

どうして、北本先輩がそんなに嬉しそうなのか分からない。


三人とも午後のケーキセットを頼むことにした。

飲み物もケーキも選べるのでお得だ。

 

注文を終えて、改めて北本先輩を見る。


「あの、この間はありがとうございました」

そう言って頭を下げる。


「別にお礼を言われるようなことはしてないよ」

「いえ。バイクの時も大翔の時も、北本先輩が居なかったら大変なことになってました。本当にありがとうございました」

本当に助かったから。


「体したことしてないって」

北本先輩は苦笑いする。


「千尋を二度も助けてくれたこと、感謝してるわ。私からもお礼を言わせて。ありがとう」

紀伊ちゃんも私の隣で頭を下げてくれた。


「ちょ、ちょっと二人とも頭を上げて。俺は俺のしたいようにしただけだよ。そんなにお礼を言われると照れ臭い」

頭をポリポリかいた北本先輩は、照れ笑いを浮かべる。


「それで、お礼をしたいんですけど、北本先輩は今欲しいものとかありますか?」

本題に入る。

私が選んでプレゼントすることも考えたけど。

北本先輩に聞いた方がいいんじゃないかと思ったんだよね。


「本当、いいんだって」

珍しく北本先輩が焦ってる。

「二回も助けられたから、何かしないとこの子の気が収まらないんですよ」

紀伊ちゃんが援護してくれる。






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