占いガール
好き、嫌い、好き、嫌い
花占いをいくらしても、好きで終わってしまう。
足元に散らばる野花に申し訳無い気持ちになる。
「私、好きなのかな」
北本先輩の事を考えると、ドキドキすると言うか、モヤモヤすると言うか。
大翔の時みたいに、簡単じゃ無いんだよね。
なんなのかな? これ。
紀伊ちゃんは、ゆっくり考えたらいいよって言ってたけど。
最近、北本先輩のアピールにドキッとしちゃうこと増えたんだよね。
「もう・・・どうしたいんだろ」
そう呟いて、学生たちが行き交う中庭を見据えた。
紀伊ちゃんがレポートの提出に行ってるから、中庭のベンチで花占いをしていた私。
もちろん、花壇の花は使ってないよ。
芝生の隅っこに咲いてた野花を使いました。
マナーは守ります。
しかし、日差しがキツいな。
顰めっ面で空を見上げる。
真っ青な空に、ふわふわと雲が浮かんでいた。
もう夏だもんな、と思い出す。
あと少しで、実家に帰る。
大翔の事もすっきりしたので、前のように帰る事を苦に思わない。
今は帰れることが嬉しいかも。
両親にも会えるし、友達にも会えるし。
ちょっとだけ・・・ほんのちょっとだけ、北本先輩に会えないのは寂しいかもな。
毎日会ってるから、なんだか会わない日が来るって言うのが・・・。
北本先輩・・・か。
何をしてても、最近、彼の事が浮かんでくる。
これって、やっぱり恋だよねぇ。
認めるのが怖くて、違うって自分に言い聞かせてたけど。
そろそろ、正直にならないといけないのかも。
もう一度足元の花弁に視線を落とす。
綺麗に咲いてたのに、ごめんなさい。
花占いに使っちゃったこの花達を無駄にしちゃダメだ。
認めよう・・・好きってこと。
「千尋ちゃん」
私を呼ぶその声に心臓がドキッと反応する。
顔を上げたそこには、笑みを浮かべてこちらに走ってくる北本先輩の姿。
カッコいい。
太陽にキラキラ煌めく髪も、今時のファッションを着こなす背の高いすらりとした姿も。
ドキドキする。
これは、間違いなく恋だよねぇ。
大翔の時よりも、ずっとずっと胸が苦しい。
多分、これが本当の恋だからだね。