占いガール






「なんなの? その挑戦的な目は。貴女ごときが私に勝てるとでも」

意地悪く広角を上げた女性は、自分に相当な自信があるらしい。


はぁ・・・彼女のせいで、周囲から凄く見られてるんだけど。

傍迷惑な人だなぁ。



「静かにしてもらえませんか? 目立って仕方ないので」

そう言って肩を竦める。

紀伊ちゃんなら、多分こう言うと思うんだよねぇ。



「・・・っ・・」

周囲をチラリと見た女性は、自分を見つめる好奇な目に気づいたらしい。


「いい大人が女の子に言いがかりつけてる」

「うわぁ、修羅場?」

「美少女可哀想」

ヒソヒソと聞こえてくるその声に、怒りで顔を赤くした女性。


「外野は煩い」

とヒステリックに叫んだ女性。

その姿が滑稽に見えた。


「貴女は知らない人なので、話しかけられるのは迷惑です」

自分の気持ちをしっかりと伝える。

北本先輩と知り合いだかなんだか知らないけど、私とは無関係の人なんだもん。



「生意気な子。倫太郎の気が知れない。ああ、でも珍しい毛色だから、面白い遊びを思い付いたのかもね」

一人で話を完結させてた女性は、勝ち誇った様に私ににっこりと笑った。


「・・・・・」

この人、本気で面倒臭い人だ。

北本先輩も、遊び相手は選んだ方がいいですよ。


「私、倫太郎の初めての相手なのよ。あの子の家庭教師として知り合ったの。中学生の倫太郎は私に夢中になって可愛かったわ」

私がなにも言い返さないのをいいことに、くだらないことを話し出した。


だいたい、カテキョ先でなにしてるの? この人。

生徒に手を出すとかルール違反だし。


チクッと胸の奥が痛んだけれど、頭は冷静になっていく。

同じカテキョをしてる人間として、この人の行いは許せない。


「・・・最低ですね」

「あら、倫太郎もいい思いをしたんだから、お互い様よ。それに中学生の倫太郎は必死で可愛かったわよ」

勝ち誇った様にウフフと笑う女性。


「バカなんですね」

この人、最低だ。

お金を貰って勉強を教える仕事を舐めてるとしか言いようがない。


「なっ・・・年上に向かってその言い草はなによ」

つり目をさらにつり上げて激怒する女性。


「常識も理性もない人を敬う気持ちにはなれませんから」

生まれたのが私よりも何年か早いだけにしか過ぎない。

尊敬できない人を敬うなんて出来るはずがないでしょ。










< 94 / 100 >

この作品をシェア

pagetop