占いガール
「なんなの? その挑戦的な目は。貴女ごときが私に勝てるとでも」
意地悪く広角を上げた女性は、自分に相当な自信があるらしい。
はぁ・・・彼女のせいで、周囲から凄く見られてるんだけど。
傍迷惑な人だなぁ。
「静かにしてもらえませんか? 目立って仕方ないので」
そう言って肩を竦める。
紀伊ちゃんなら、多分こう言うと思うんだよねぇ。
「・・・っ・・」
周囲をチラリと見た女性は、自分を見つめる好奇な目に気づいたらしい。
「いい大人が女の子に言いがかりつけてる」
「うわぁ、修羅場?」
「美少女可哀想」
ヒソヒソと聞こえてくるその声に、怒りで顔を赤くした女性。
「外野は煩い」
とヒステリックに叫んだ女性。
その姿が滑稽に見えた。
「貴女は知らない人なので、話しかけられるのは迷惑です」
自分の気持ちをしっかりと伝える。
北本先輩と知り合いだかなんだか知らないけど、私とは無関係の人なんだもん。
「生意気な子。倫太郎の気が知れない。ああ、でも珍しい毛色だから、面白い遊びを思い付いたのかもね」
一人で話を完結させてた女性は、勝ち誇った様に私ににっこりと笑った。
「・・・・・」
この人、本気で面倒臭い人だ。
北本先輩も、遊び相手は選んだ方がいいですよ。
「私、倫太郎の初めての相手なのよ。あの子の家庭教師として知り合ったの。中学生の倫太郎は私に夢中になって可愛かったわ」
私がなにも言い返さないのをいいことに、くだらないことを話し出した。
だいたい、カテキョ先でなにしてるの? この人。
生徒に手を出すとかルール違反だし。
チクッと胸の奥が痛んだけれど、頭は冷静になっていく。
同じカテキョをしてる人間として、この人の行いは許せない。
「・・・最低ですね」
「あら、倫太郎もいい思いをしたんだから、お互い様よ。それに中学生の倫太郎は必死で可愛かったわよ」
勝ち誇った様にウフフと笑う女性。
「バカなんですね」
この人、最低だ。
お金を貰って勉強を教える仕事を舐めてるとしか言いようがない。
「なっ・・・年上に向かってその言い草はなによ」
つり目をさらにつり上げて激怒する女性。
「常識も理性もない人を敬う気持ちにはなれませんから」
生まれたのが私よりも何年か早いだけにしか過ぎない。
尊敬できない人を敬うなんて出来るはずがないでしょ。