占いガール
「ちょっと、可愛いからって生意気なのよ」
「はぁ・・・そうですか・・・」
やれやれと首を左右に振る。
思いのままに生きてる彼女が哀れに思えた。
「その態度何よ。ふざけてんの?」
「いえ、北本先輩も見る目が無さすぎだなと思っただけですよ」
「なっ、私を舐めてると痛い目を見るわよ」
怒りに任せて彼女は手を振り上げる。
痛みを覚悟して目を瞑ったけど、それはいっこうにやってこなかった。
「本当、千尋ちゃんの言う通り。俺って見る目無さすぎ」
「り、倫太郎」
彼女の声に同様が走る。
北本先輩は彼女の腕を掴んで、彼女を嫌悪に満ちた目で睨み付けていた。
「千尋ちゃんに何をするつもりだったの? お世話になった恵子さんでも許さないよ。千尋ちゃん、大丈夫? 何もされてない?」
笑ってない北本先輩の瞳が彼女を見据えたあと、彼女の手を突き放すように離して、私の隣へとやって来た。
「はい。大丈夫です」
「ごめんね? 迷惑かけて」
「あ・・・いいえ」
お互いにぎこちない会話を交わす。
「倫太郎、そんな子より、私と遊びましょうよ」
めげない人ってすごいな。
北本先輩に色気たっぷりに微笑んだ彼女。
「本気で好きになった子が出来たから、もう遊んだりしないって連絡したよね」
北本先輩の見たこともないような冷たい表情と声に驚いた。
普段の彼からは想像できないものだったから。
「そ、そんなの気の迷いよね。その子より長い付き合いの私の方がいいに決まってるわ。今戻ってくるなら許すわ」
「はぁ・・・恵子さん。俺たちってお互いに割りきった関係でしたよね。それでいいと貴女も承知していたはずでしょ」
「そ、それは・・・」
「俺、今までバカなことをやってたことは謝ります。だから、今後は見かけてもこんな風に声をかけるのは止めてください」
北本先輩は彼女と決別の意思を示してから、頭を下げた。
「・・・っ、どうしてよ」
ヒステリックに叫ぶ彼女を尻目に北本先輩はモニターを操作すると、私を見て微笑んだ。
「ごめん、千尋ちゃん。帰ろうか」
「はい。それがよさそうですね」
2ゲーム目をする雰囲気でもなくなってしまったので、ちょうどいい。
「これ、今さらだけど」
北本先輩は申し訳なさそうに眉を下げると、彼が買ってきたであろうジュースのペットボトルを差し出した。
「ありがとうございます」
お礼を言ってそれを受けとると、帰るために椅子に置いてあった鞄を掴んだ。