占いガール




「誠実に向き合ってみてください」

じゃないと彼女はきっと北本先輩を思い続けると思う。


「うん、そうするよ。千尋ちゃんにまた迷惑かけちゃうと困るし」

「私の事はいいですけど・・・」

最後は綺麗に終わらせた方が、お互いに幸せになれると思う。


「ハハハ・・・そうだね」

力なく笑った北本先輩に少しだけ胸の奥が痛んだ。










ー倫太郎sideー


千尋ちゃんを巻き込んでしまったのは、俺の失態。

ボーリング場で、千尋ちゃんに詰め寄ってる恵子さんを見て何とも言えない怒りに囚われた。

もちろん、自分に対して。


快楽だけを求めて、女性を道具のように扱ってきたツケが、こんなところで出るなんて。

どんなに、俺が千尋ちゃんを好きだったとしても、彼女は巻き込まれるべきじゃない。


最近は彼女が心を開いてきてくれて、やっとマイナスから脱出したと思っていたのにね。


「ほんと、俺バカ」

机に突っ伏して頭を抱えた。

あの日、複雑な顔をした千尋ちゃんと直ぐに別れた。

用事があると言われてしまえば、駅まで送るしか出来なくて。


頻繁にとってた連絡も、あの日の負い目で取れなくなってしまった俺がいる。


「何を叫んでるんだよ」

呆れ顔で俺を見下ろす慧。


「自分の馬鹿さかげんを嘆いてる」

「過去は変えられないんだから、開き直るしか無いでしょ?」

「・・・・・」

簡単に開き直れたら苦労しない。


「倫って、本命にはダメ男なのな」

フハハと笑った慧を睨み付ける。


「・・・仕方ないだろ。会わす顔がないよ」

関係ない事に巻き込んで、女関係のだらしなさを改めて知られちゃったんだ。

きっと、彼女は呆れてるに違いない。

正直、自分でもこんな情けない男だって思わなかったよ。


「じゃあ、諦めるの?」

「諦めない」

「即答じゃん。なら、することは決まってんでしょ」

「・・・嫌われたくない」

「なおさら、ウジウジしてる場合じゃないだろ」

慧の言葉が突き刺さる。

そんなの分かってる、ウジウジしてる場合じゃないって事も。

俺が近寄らなくなった事で、千尋ちゃんを狙う野郎共が動き出してるんだ。


「他の奴に取られてもいいなら、落ち込んでたら」

「そんなのダメだ!」

慧の言葉に勢いよく立ち上がる。

周囲の生徒達が、俺を不思議そうに見てたけど、そんなの全く気にならない。





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