世界できっと、キミだけが
◎忍び寄る不穏な影
私が狙われている。
吉沢さんに言われてから、そのことが頭から離れない。
夏休みも、残り数日になり学校もあと少しで始まる。
竜は数日休養をとった後すぐに仕事に復帰し、今ではもうすっかり元通りの仕事量をこなしている。
私の怪我も捻挫も含めてほとんど治って問題なく過ごせてもいる。
幸子お嬢様としての仕事も最近はほとんどなく、屋敷に籠りきりの日々。
結局、久住さんや竜からは狙われているのが私だっていう話は聞いていない。
「なにボーっとしているんだ」
「えっ、べ、別にいいでしょ。暇なんだもん」
「暇なら勉強でもしたらどうだ。もうすぐ始まるんだろう」
「それはそうだけど……」
暇なら勉強って、そりゃあ、私学生で勉強が本分だけどさ。
なんて、遊びに行きたいなんてもう言えない。
その結果があの事故だってわかっているから。
「学校、行ってもいいの?」
ふと疑問に思ったことを投げかける。