世界できっと、キミだけが


「紗千さん!大丈夫か!?」



呼吸が少し落ち着き、頭はぼんやりとするけれど落ち着いてきた頃。
慌てた様子で入ってきたのは、…久住さんだった。


竜じゃない…。



そのことに、ひどくがっかりしている自分が居た。




「鹿島は?いないのか?」

「え……?」

「あいつ、一番に動ける場所にいたはず…。いや、悪い。こっちの話だ。それより、苦しいところは?怪我の状態は」




一番動ける場所に…?
それなのに、来てくれなかった?

そんなはず、ないよね。
だって、護ってくれるって言ったもの。

あの事故の後、そう誓ってくれた。


それは、嘘だったの?



「あの、さっき男が紗千の首を…」

「ああ、ありがとう。キミたち。大丈夫。男は捕えたよ」

「捕まえたんですか!?よかった」



掴まったんだ。
さっきの外での騒ぎは、それだったんだ。




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