世界できっと、キミだけが
菜穂たちは、まだ授業があるからと吉沢さんが学校に送っていってくれた。
残されたのは、私と久住さんとそして竜。
「久住さん、なんであの場所…」
「ああ、紗千さんの制服のスカートのウエスト部分に、GPSを取り付けさせてもらっていたんだ」
「え……」
初耳。
そう言えば、最初竜に制服を預けたことがあった。
そのためだったの?
「一定以上の衝撃を感じると連携している端末に居場所と音声が送られてくるようになっていたんだ。黙っていてすまない」
「いえ…」
そっか。
そんな風に、学校内での私の安全も護ろうとしてくれてたってことだ。
「でも、衝撃を受けてからでは、どうしても向かうのに時間がかかってしまう。だから、少しでも近くに待機していたんだけど……」
一番近くに待機していたはずの竜が、来なかったんだ。
「…言い訳はしない。すまなかった」
「……うそつき」