世界できっと、キミだけが
「大丈夫かい?軽い過呼吸のような症状が出てるね。ゆっくり呼吸をするように意識をして。ゆっくりね」
「…っ、はぁ…はっ…」
風のあたるテラスに出て、献身的に看病してくれる見知らぬ青年。
いったい誰なんだろう。
おかげで少し気持ちが落ち着いてきた。
「ごめん…なさい。迷惑をかけて…」
「いいんだ。幸子さんとは、話をしてみたかったから。話しかけるタイミングがなくてどうしようと思っていたところだったんだ」
「え…。あの、貴方は…」
そう問いかけてハッとした。
もし、幸子お嬢様と面識があったとしたら。
私が知らない感じを出してしまうのはまずいんじゃないか。
でももう遅いけれど…。
「僕の名前は、倉持浩一。この会社の跡取りって言ったらわかるかな?」
「あ……」
来てすぐに挨拶した倉持社長の話していた息子さん。