世界できっと、キミだけが
「彼女は、ちゃんと飲み物も警戒していたよ。それを僕が目の前で飲んで見せて渡したんだ。きっと彼女は僕に気を遣って飲んでくれたんだね」
「……そうですか」
フォローのつもりか?
苛立つ。
眉を寄せ、短くそう告げた。
「宇都木幸子…。昔一度遠目に見たことがあるんだ」
「…?」
「今の彼女とは少しイメージが違う。気品があって、根っからのお嬢様って感じだったと記憶しているんだけど」
「…月日が経てば人は成長するし、変わりますよ」
なにを考えている。
なにかに気づいたのか。
そんなわけ…。
「まぁ…。そういう事にしておくよ」
「そうですか」
「それに、僕は今の彼女の方が好ましい」
「…は?」
怪訝な視線を向ける。
今、なんて…。