世界できっと、キミだけが


「自己紹介をしていなかったね。僕は倉持浩一。このパーティの主催者である会社社長の息子っていったらわかりやすいかな」

「倉持社長の……」

「そんな僕と、宇津木グループの社長令嬢。…つり合いは取れている」



無意識に、抱き上げた小野田紗千の身体を抱く手に力を込めていた。




「もし、もし仮に、彼女がそうじゃなかったとしても。今時政略結婚なんてないこともないけれど、うちの家系は恋愛も結婚も自由って考え方だし。問題はない」

「なにが言いたいんですか?」

「本気で、彼女を狙ってみようかな、なんて。どうかな?」

「……俺がどうこう言える話じゃない」





そう言って背を向けて歩き出す。




「ふぅん。じゃあ、お言葉に甘えて」

「……」



俺はそれ以上何も答えずその場を後にした。




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