世界できっと、キミだけが
◎過ぎ去りし日々
俺は、父親が嫌いだった。
「竜、ごめんな。お父さん、また仕事が忙しくなりそうなんだ」
「ごめんな。約束していたのに。また仕事で行かなくちゃいけなくなったんだ」
仕事、仕事、仕事。
自分の家族も護れずに、他人ばかりを護る父親。
「別に、いいよ。もう父さんと約束なんてしないから」
いつしか、諦めることを知った。
無理なのだと。
約束するから裏切られる。
期待するから落ち込むんだと。
もう、自分に父親なんていないものだと思えば。
きっと楽なのだと、悟った。