世界できっと、キミだけが
その額ざっと200万。
よかったことといえば、それが闇金とかそういうたぐいのところからの借金ではなかったことくらいだ。
おかげで、私たちは今も貧乏暮らしをしている。
別に、そこまで苦労をしているわけではないし。
この生活に不満はないけれど。
もう少しうまく生きられないのかと、我が父ながらに想うのだ。
「今日も遅くなるから、ちゃんと戸締りして寝るんだぞ」
「わかってるー。あまり無理しないでね」
「ありがとう。本当に優しい子だね、紗千は」
よしよしと大きな手が私の頭を撫でる。
いつまでたっても私を子ども扱いするお父さんに、私は呆れながらも正直嬉しかったりするのだ。
お父さんは、無条件に私を甘えさせてくれる。
だから、お母さんがいない寂しさをこれまでほとんど感じたことなんてない。
その分、お父さんがたくさんの愛情を注いでくれているから。
だから私は、今十分幸せなのだ。
少しだけ、願うなら。
お父さんを苦しめるその借金さえなくなれば、と思う。