世界できっと、キミだけが


「幸子さん、見ないうちに綺麗に成長して」

「ありがとうございます」

「大学に通いながら経営の勉強もしているんだろう?すごいねぇ」

「ありがとうございます」




この瞬間は、何度経験しても慣れない。
誰も本心がない。
敵意丸出し。
ヒシヒシと伝わってくる悪意のようなもの。

身内に向けるモノじゃない。
こんなの、ずっと感じてきたんだろうか、幸子お嬢様は。
それなのに、どうしてあんな風に心優しく育ったんだろう。

一度しか会ったことないけれど。
柔らかな人だった。




「お前、さっきからありがとうございますとしか言っていないぞ」

「う…、」

「語弊力はどうにもならなかったか」

「が、頑張るわよ…」



ほんと竜って厳しいんだから。



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