世界できっと、キミだけが
◎最低なボディガード
「今日より、お前のボディガードを務めることになった鹿島竜(かしまりゅう)だ。よろしく」
「よ、よろしくお願いします」
女にしては身長の高い方である私ですら見上げるくらいの長身。
黒髪で少し長い前髪を横に流して、きりっと厳しい眉にそれに似合う切れ長で二重の目。
弧を描くことがあるのだろうかと疑うほど真っ直ぐに固められた口。
きっちりとしたスーツに身を包んだその人は私を見下ろすように立っている。
「確かに、顔は幸子お嬢様によく似てはいるが。ダダ漏れる貧乏臭で全くの別人だな」
「はい!?」
今、なんて言った?
ダダ漏れる貧乏臭って何。
お嬢様らしさなんて一ミリもないことくらい自分でわかってるけど。
初対面の人に明け透けに言われていい気分はしない。
失礼すぎない?
「鹿島くん。仮にも御守りするお方ですから」
「そうでしたね。すみません。本心が出ました」
ほ、本心ですって!?
「とにかく、立ち居振る舞いをもう少し気をつけろ。仮にも身代わりを務めるなら、誰が見ても幸子お嬢様だと思われるくらいにはなってもらわないと」