世界できっと、キミだけが
バァン!!
突然けたたましい音にビクッと身体を縮める。
グイッと手を引かれ、竜の背中に隠された。
目の前に広がる大きな背中。
ドクンと大きく胸が鳴った。
「な、なに」
「隠れてろ」
「う、うん」
会場が悲鳴の渦にのまれる。
今のって、銃声…?
一気に恐怖が押し寄せる。
どうかこのまま無事にだなんて呑気な事を考えてた。
ここは敵地。
竜の言葉がこだまする。
「宇都木幸子を出せ!どこにいるんだ!」
幸子お嬢様を、狙ってる。
私は身を固まらせた。
どうしたらいい。
ここには他にもたくさんの人がいる。
宇都木の者だけじゃない、無関係の人も。
その人たちを犠牲にできない。
だったら…。
だったら、私が出るしかない。