世界できっと、キミだけが
覚悟を決めて立ち上がろうとした時。
グイッと竜に腕をひかれた。
「宇都木幸子!どこにいる!出てこないとここにいる人間一人ずつ殺していく!」
「ここに宇都木幸子という人間はいない!」
強く握られた腕。
竜が叫んだ。
なにを言っているの。
「なにを言ってるんだ!そんなわけないだろ!」
激高した男が叫ぶ。
「その男の側にいる赤いドレスの女だ」
その時、机の下に隠れていた宇都木社長の弟が叫んだ。
「なっ!貴様…!」
「いるじゃねぇか!出て来い!」
周りの人の視線が私を見る。
嫌な視線だ。
早く出ていけと。
犠牲になれと言っているような目。
「この子は違う!宇都木幸子の身代わりをしているだけの娘だ!本物の宇都木幸子はここにはいない!」
「りゅ、竜…!?」
そんな事言っていいの?