世界できっと、キミだけが


周囲がざわつく。
こんな状況だもん、仕方ないのかな。

でもきっと竜は、私の事を護るために。



そんなことしていいわけないよね。
きっと後で怒られることもわかっていて。
契約違反だともしかしたら辞めさせられるかもしれない。




「うるさい!そんなことどうだっていい!」

「お前の目的は達成できないって言ってるんだ!」

「達成できる!宇都木幸子を名乗る女を殺せと言われたんだ!!だからその女を殺せば俺は…!」

「え…」

「な…、誰だ!そんなこと命令した奴は!」





どうして…。
名乗る女って…、私が身代わりだって知っているってこと?
その上で、その人を殺せって…。


それはつまり、私を殺せって……。



ガクッと力が抜けその場に座り込む。
ガクガクと体が震え、息が上がる。



「お…、紗千…。くそ。言え!誰だ!この会場にいるやつか!?」

「誰が言うか!もう俺はこうするしかないんだ!」



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