世界できっと、キミだけが
「今のままではただの、顔だけそっくりさんだ」
はっきりとそう言いきられ、イライラと怒りのゲージが上がっていく。
ほんとなにこの人。
嫌い!
やな奴!
「私、別にやりたくて身代わりするわけじゃないから!」
「勝手なことを言うな。それでも金欲しさに引き受けたのはお前だろう」
「か、金欲しさにって…!」
「借金を肩代わりしてもらう代わりにこんな身代わりなんか引き受けたんだろう?」
結果的にそうなっただけで、どっちにしろ断る道なんて用意されてなかった。
あの時出会った時からこうなることは決められていたみたいに。
「顔が似ていて得したな」
カッとなって手を振り上げた。
勢いよく振り下ろしたその手は、その男によってガシッと掴まれ止められた。
悔しい。
言いたい放題言われて。
馬鹿にされているみたい。
それなのに、その怒りをぶちまける事さえ阻まれて。