世界できっと、キミだけが
「お金なんていりません。ボディーガードの契約も必要ありません」
私はそうはっきりと言った。
私一人についてくれていた時でさえ、竜は休みもなくフル稼働で護ってくれてた。
それは久住さんや吉沢さんも同様。
幸子お嬢様が自由になる以上、私まで護るってなったら大変に違いない。
そんなの、絶対に無理だよ。
「これまで、ありがとうございました。失礼します」
「紗千さん!」
「おい!」
私は頭を下げ、そのまま部屋を出てきてしまった。
複雑な気持ちが入り混じる。
やっと役目を終えて家に帰れる喜び。
なにかが起きるかもしれない不安。
竜と、会えなくなるっていう寂しさ。
それでも。
ようやくこの生活が終わるんだ。
お父さんのところに帰れる。
それが嬉しい。