世界できっと、キミだけが


「わかってんのか!?今の状況でここをでるってことがどういうことか」

「わかってる。でも、仕方ないじゃん」



後を追って来た竜が、帰り支度をする私に怒鳴る。
そんなに怒らなくてもいいじゃん。

竜だって、お荷物が減って嬉しいくせに。
それに。



「竜だって、やっと幸子お嬢様のところに戻れるんだよ?喜ばないと」

「は…?別に俺は…」

「それと、私の言ったことは気にしなくてもいいから」

「は?」




バカだな。
わざわざ自分から蒸し返すなんて。



「好き…って言ったこと!竜の気持ちはわかってるし。つい思わずいっちゃっただけだし。だから、もう気にしないで」

「…」

「きっと離れたら、竜の事なんてすぐに忘れちゃうんだから。口が悪くて意地悪な竜なんかよりももっといい人見つけて…」

「そうかよ」

「…そうよ!」




そんな未来、全然想像できないけど。
でも、そう言うしかないじゃん。
竜を困らせたくないもん。


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