世界できっと、キミだけが
「あんたみたいな最低な奴に護ってもらわなくて平気!あんたなんかに護ってもらいたくない!」
「お前の意思は関係ない。俺は仕事だからお前を護るだけだ」
私の感情論なんてことごとく切り捨てられていく。
感情的になっているのは私だけで。
この人は淡々と受け流していきながら、私の心を抉っていくんだ。
「そのくらいにしなさい、鹿島」
「吉沢。見ていたならもっと早くにそいつを止めてくれ」
「バカね。私がとめるのはあなたよ」
後ろに、女の人がいたなんて気づかなかった。
泣き出しそうになるのを唇を噛んで我慢してその人を見る。
同じようにスーツを着こなし、ショートカットの凛々しい女性。
綺麗な顔をしているけれど、少しきつめの顔つき。
「はじめまして、紗千さんでしたよね。私はこの鹿島と同じ民間の身辺警護の会社KBGから来ました。吉沢那月(よしざわなつき)です。よろしく」
「よ…よろしくお願いします」
女のボディーガードもいるんだ。
私、この人の方がいい。