世界できっと、キミだけが


それなのに、なぜ…。




「一刻も早く吉沢に話を」

「それが、連絡が取れない。居場所が分からなくなっている」

「え…?」

「端末は電源が落とされている。自宅にもいなかった」




男が吐いたことを嗅ぎつけたのか。
そうなったら、後がなくなった人間は何を起こすかわからない。



「急いで探しましょう!」

「ああ!」



その時、けたたましい警告音が鳴る。
それはGPSからの異常を知らせる警告音だ。



「紗千につけてたGPSのものだ!」

「…なに!?」




事務所の端末に駆け寄る。
端末は地図上の一か所が点滅している。



『……助けて……!…竜!!……ジジ…ブッ』




贈られてきた音声は、一瞬ですぐに切れた。
同時にGPSの点滅も消える。




「GPSが壊されたんだ。…紗千さんが危ない!」

「もう、吉沢と接触してるってことか…!」




くそ!
なんでこんな事に。




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