世界できっと、キミだけが
「鹿島、大丈夫か?」
病室の扉が開く音がして、久住さんの声が聞こえる。
久住さんは後からやってきた警察に事情説明にいっていた。
「はい…。吉沢は…」
「ちゃんと自供を始めたらしい」
「そう…ですか…」
あいつが抱えていたモノに、なにも気づけなかった。
ずっと一緒に働いてきたのに。
「すみません、俺…。あの学校での事件の時、疑問に思ったことがあったのに深く追求しませんでした。もっと早く気づいていれば…」
「馬鹿野郎。お前は何も悪くない。俺だって気づけなかった。KBGの責任者として、見抜けなかった俺の落ち度だ」
「そんな事…!」
「そうやって、お前だって俺の事庇ってくれようとするだろ。俺だって同じだ」
何が彼女をそうしてしまったんだろう。
でも俺は…。
どんな理由があったにしろ、紗千をこんな目に遭わせた彼女を、きっともう許すことはできないだろう。