世界できっと、キミだけが
◎ケセラセラの魔法
学年が上がり、高校三年生になった私は、自分の未来の決断の時が迫られていることに焦りを感じていた。
お父さんの借金がなくなった今、卒業して働く必要がなくなってしまった。
それでも、大学や短大とかはお金がかかるし、生活を助けるために就職する道も捨ててはいないけれど。
お父さんには、家のことはなにも考えず、自分のやりたい道に進めと言われた。
それが私には一番困るのだ。
私にはやりたいことなんてない。
やりたかったことは、お父さんのために働くことだけだったんだもの。
「はぁー」
「大きなため息」
三年になっても同じクラスになった菜穂。
ため息を吐く私に、驚いたように目を丸くした。
「菜穂はさ、進路決めた?」
「私は進学するよ。まだ保育園か幼稚園、小学校かまで決めれてないから全部取れる大学にいくつもり」
ちゃんと、考えてるんだ…。
私だけだ。
夢なんて何もない。