世界できっと、キミだけが
お屋敷での生活は、堅苦しくなるほど豪華で。
とても自分には場違いなのだとわかる。
居心地の悪さをずっと感じている感覚。
「この土曜日に、故人である宇都木達臣氏のお別れ会が執り行われます」
「え……」
「それに、幸子お嬢様として参加していただきます」
「え、ちょ、ちょっと待って…!」
伊永さんに告げられたことに、私は慌てて声を上げる。
あのニュースでやってた宇都木グループの創業者である宇都木達臣。
そして、私が身代わりをしている宇都木幸子お嬢様の祖父にあたる人。
そんな人のお別れ会に私が参加するの?
私にはまったくと言って関係ない人だし。
身代わりでって言ったって…。
「その、幸子お嬢様はいいの?孫として、おじいちゃんとお別れしたいんじゃ……」
「幸子お嬢様は、お葬式などには参加しております。それよりも、身の安全が優先ですので」
それって、暗に私はどうなってもいいって言っているようなモノじゃないかしら。
そもそも身代わりってそういうものだけど。
わかってても、なんだか悔しい。