世界できっと、キミだけが
「お疲れさまでした」
「……はい」
社長についていた伊永さんが会が終わり帰るために車に戻るとそう言って迎えてくれる。
「帰りは社長とともにお連れいたします」
「…お願いします」
社長と…。
ものすごく緊張しちゃう。
私は固くなりながら車に乗り込む。
親子に見えないといけない。
誰がどこで見ているかわからないのだから。
でも、本当の幸子お嬢様とはどんな感じなんだろう。
私と、私のお父さんとの関係とは確実に違う気がする。
「うまくやれたのか?」
「え…あ…どうでしょう。精一杯頑張りましたけど」
「そうか。しっかりと頼んだ」
「努力します」
身代わりをつけてまで護ろうとしてるってことは、父親として娘を大切に想ってるって事だよね。
親心はちゃんとある人なんだよね、きっと。