世界できっと、キミだけが
父親が一旦家に帰り、久住さんたちは後処理があるため事務所に戻った。
俺が小野田紗千に付き添う事になった。
こんな時に俺に任せてくれるなんて、久住さんはつくづくお人好しだと思う。
仕事には厳しい人なはずなんだけどな。
「…気分はどうだ」
病室に入り、小野田紗千に声をかけた。
小野田紗千はベッドに横になったまま視線を一度俺に向ける。
でもすぐに反らした。
「今、…鹿島さんの顔を見たくない」
そして、絞り出すようにそう言った。
「すまなかった。許してもらえるとは思ってない」
「……鹿島さんは、幸子お嬢様のボディーガードがよかったんだよね」
「そんなことは…」
「あるでしょ?あの時、私なんか目もくれずにまっすぐ幸子お嬢様の元に向かったじゃない」
反論することなんて、できやしない。
そう捉えられても仕方ない。