世界できっと、キミだけが
「おい!大丈夫か?」
「浩太、あんたどこ行ってたのよ」
「どこって。着替え終わって、パラソル立てに鹿島さんと」
焦った様子の浩太は、何事かとワタワタしている。
「竜さんって、強いんですね」
「ん?ああ…。普段から鍛えているから」
「鍛えて?趣味とかですか?」
「まぁ、そんなところだ」
菜穂は感心したように竜に話しかけている。
竜もそれにちゃんと応えている。
誤魔化しながらだけれど。
まぁ、仕事でなんて言えないよね。
なんだか、この感じ…。
前もこんな感覚に。
ああ、そうだ。
宇都木幸子お嬢様と竜の二人を見た時。
二人の関係にモヤモヤして、胸がチクリと痛んだ。
なんでこんな気持ちになるんだろう。
「まぁ、無事でよかったぜ。気を取り直していこうぜ」
「…浩太は呑気でいいわね」
「はぁ?なんだよ、それ」
ほんと、いつだって浩太はアホで呑気で、おバカなんだから。