ウルフの恋に溺れて。

そう思っても、陸は私の思い通りに動いてくれない。



「お前相変わらずおっちょこちょいなのな(笑)いいよ戻んなくて、切符くらい俺が買ってやるって!」


「ちょ!そんなのいいよ申し訳ないし…!」



私は財布を出そうとする陸にそう投げかけた。



「いいって早く早く、電車来るって!」



そう言って私の隣に立って券売機を操作する。





あぁ、もうほんとに、諦めさせてよ。

どんどん好きになるじゃん。やさしくしないで。





背の高い陸を見上げて、私は泣きそうになる。





手が届く場所にいる陸が、今すごく遠く感じる。

あんなに近くに感じていた陸が…。





「はい!行くぞ!」

「…ありがとう、陸。」





そうして私たちは、同じ電車にのって学校に向かった。




< 16 / 33 >

この作品をシェア

pagetop