ウルフの恋に溺れて。
そう思っても、陸は私の思い通りに動いてくれない。
「お前相変わらずおっちょこちょいなのな(笑)いいよ戻んなくて、切符くらい俺が買ってやるって!」
「ちょ!そんなのいいよ申し訳ないし…!」
私は財布を出そうとする陸にそう投げかけた。
「いいって早く早く、電車来るって!」
そう言って私の隣に立って券売機を操作する。
あぁ、もうほんとに、諦めさせてよ。
どんどん好きになるじゃん。やさしくしないで。
背の高い陸を見上げて、私は泣きそうになる。
手が届く場所にいる陸が、今すごく遠く感じる。
あんなに近くに感じていた陸が…。
「はい!行くぞ!」
「…ありがとう、陸。」
そうして私たちは、同じ電車にのって学校に向かった。