ウルフの恋に溺れて。
『 2限目は 視聴覚室 』
遅刻者に向けて書かれたであろう張り紙の前で、私と陸は呆然と立っていた。
「どうりで誰もいないわけか。」
陸が静寂を破る。
「電気もついてないしね。」
そういって、誰もいない教室の中を見た。
「どうする?俺、部室に荷物置くから教室の中入んねえけど」
エナメルバッグを掛け直しながら、陸が私に言う。
「あ、そっか、私は教室に置いてから向かう!」
「了解!じゃあ、また後でな!」
そういって、扉の前で陸とわかれた。
「はぁ。」
部室に行かなきゃけないのに、わざわざ着いてきてくれたの?
などと考えなくていいことを考えながら、教室のドアを開け、踏み出した時、何かにつまずいた。