ウルフの恋に溺れて。


キーンコーン



凜音と話しているうちに、いつの間にか授業終わりのチャイムが鳴った。




「あ、チャイムなっちゃった、さすがに6時間目は受けなきゃ。凜音、教室戻らないの?」



「…あんたに起こされたから、まだ寝足りない。」




うぅ、何も言えない…。




「そっか、じゃあ私先に行くね!あと、あんたじゃなくて、ひなの!だからね!」



「…。」




そう言い残して私は扉の方へ向かった。












「ひな。」



呼び止めるように呟かれたその言葉に、私は振り返った。



「また来いよ。」



一瞬、頭の中が真っ白になった。



『また来いよ。』


なんでもない言葉かもしれないが、私には少しだけ、特別な言葉に聞こえた。




「…うん。うん!!また来る!」




私は屋上を出て、ステップを踏むように階段を降りた



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