ウルフの恋に溺れて。
「なにそれ!ひどい!」
桜が中庭で、お弁当を食べながら叫ぶ。
「噂には聞いてたけど、本当に毒舌なんだね…」
私は、今朝、真田くんに言われたことを、桜に話していたのだ。
「そう…だけど、でも真田くんの言ってることは事実だし…仕方ないよ。」
悲劇のヒロイン。
この言葉だけが、やけに耳に残っている。
「もうすぐ授業始まるし、行こっか!」
桜が、私を励ますように、明るい声で言う。
私はなるべく笑顔でうなずいた。
午後の授業が終わっても、もやもやは消えなかった。