ウルフの恋に溺れて。





「日直ー、ここに日誌置いとくから、ちゃんと書いてもってこいよー。」


担任が日誌を軽くたたきながら言った。



あ、私今日、日直だったんだ…桜に言わなきゃ。



「桜、ごめん、私今日日直だから、先帰っててくれる?」


「あ!わかった!じゃあまた明日ねー」


そう言って、桜は教室を出ていった。



その桜の姿を見つめていると、見たくないものが目に飛び込んできた。




…陸。




私は心の中でそうつぶやいた。



陸と奈々ちゃんが、手をつないで帰っていく姿が見えたのだ。




私はすぐに目をそらした。
涙がこぼれないように、上を向きながら。








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