ウルフの恋に溺れて。
「やばい、遅くなっちゃった…この時間電車混むのに…!」
日誌を書き終えた後、話の長い担任につかまって、長々と話し込んでしまった私は、そう愚痴をこぼしながら、駅へと走っていた。
予想通り、電車は満員だった。しかし、これを逃したら、次に電車が来るのは15分後。
「仕方ないか…。」
溜息をこぼしながら電車に乗り込む。
しかし、私は大変なことに気が付いた。
間違えて、女性専用車両の、隣の車両に乗ってしまったみたいだ。
「どうしよう…。」
この人ごみの中、隣の車両へ移動するのは無理があった。
するとその時、背後に嫌な気配を感じた。
「…っ!」
恐怖で声が出なかった。
男の人が、私のスカートに手を伸ばしていた。
うそ…。嫌だ、助けて…。
周りの人はみんな、この状況に気づいていない。いや、あるいは気づかないふりをしているのかもしれない。
男の鼻息が、耳にかかり、ッゾっとする。
怖くて泣きそうになったその時。