現役女子高生、メイドになります！

『……お前、まさか、海が好き？』


「え……」



その一言で、今まで止まっていた歯車が急に回転するように、私の心臓は大きく脈を打ち始めた。




『えっ。嘘、だよな？……まさか、海もなのか？なあ、お前らって両思いなの？』




あえて自分でも開けようとしなかった、心の中の一番深いところにある扉の鍵を、無理やりこじ開けられたような感覚に陥る。



受話器を持つ手や開いたままの唇がわなわなと震えだし、両方の目から涙がとめどなく溢れてきた。




『結衣、泣いてる？なんで……』




声が出ない。首をぶんぶんと横に振っても、受話器の向こう側にいる風様には伝わるはずもない。