現役女子高生、メイドになります!
「我慢すんな。俺は平気だからちゃんと言って」



風様は、少し長くなった私の前髪を、顔にかからないように指先で優しく払う。その仕草は海様にとてもよく似ていると思った。


彼だって口ではそういいながらも、本当のところは平気なはずがない。私はこの人のことを、どれだけ傷つけているんだろう。



それでも、一度扉を破って溢れ出てしまった想いは、もう身体中を駆け巡ってしまい、元の位置に収まることがなかった。



……おかしくなりそう。内側で破裂しそうになっている塊を、全て吐き出してしまいたい。



震えるこぶしを反対側の手のひらで包み、そのまま胸に押さえつけた。



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