現役女子高生、メイドになります!
風様はゆっくりと私の身体を離すと、再び頬に手を添えて、そっと親指で涙を拭った。




「……わかるよ。泣いていたって、悲しいわけでもなんでもないんだろ。


どうしようもないほどに好きすぎて、自分でも抑えることできなくて、勝手に溢れてきちゃうんだよな」




風様の言葉はきっかけにすぎなかった。私の心の奥底にある扉の鍵は、いつ壊れてもおかしくなかったのだ。




「あーあ、よりにもよって海かよ」




風様は大げさなため息をついてから、仰向けのままどさっとベッドに倒れ込む。



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