現役女子高生、メイドになります!
……ユウキ?人の名前だろうか。それとも俺の聞き間違い?



もう一度ベッドの側に寄ると、結衣はまるで助けを求めるかのように、ゆっくりと震える手をこちらに差し出す。



俺は少し迷ってからその手を握る。すると、汗ばんだその手が弱々しく握り返してきた。




「……離さないで」


「……」




起きている様子はなかった。夢を見ているのだろうか。



さっきまで苦しそうにしていた結衣も、『ユウキ』の手を握った途端、だんだんと落ち着いてきたようだった。



……そいつが、好きなの?



結衣の呼吸が整い、手に力が抜けるのを確認してから、そっと手を離して部屋を出た。



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