現役女子高生、メイドになります!
結局はその涙も、結衣はすぐに止めてしまった。癖なのか、両頬をぱちんと叩いて強引に笑顔をつくる。



……実は、俺はその仕草を、今までに何度も見てきたんだ。



結衣のことは、陽菜達が家出した時に『思い出した』と話した。だけど、本当はそうではない。



小学生の頃に見た結衣は、確かに俺にとって印象に残っていた。だけど、時間の経過とともに、自然と忘れていく。



俺が彼女を『思い出した』時期は、今から二年前。



つまり、結衣がここで働き始めるころには、俺は既に彼女のことを『知っていた』。



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